分析家の独り言 499(戦争)

『永遠の0』、戦争を描いた映画が、今公開されています。

戦争という特殊な状況の中で、戦争を知らない私などには想像もつかない様々なことが起こったことでしょう。


私事ですが、私の父も戦争経験者で、フィリピンにいたと聞きます。

フィリピンへ戦没者の慰霊や現地に学校を建てる協力などのために度々赴いていました。

人は普通の状況のなかで育っても、両親や家庭環境によって心に欠損欠如を抱えます。

100%の精神発達を成すことはまず不可能なので、何らかの欠損を抱えた者が、

戦争によって更に少なからず心の傷を追うことになると思うと、これは大変なことだと思います。


戦争を体験していない私などが、戦争を語るのは烏滸がましいのですが、

戦争に翻弄され、戦前、戦中、戦後で価値観が変わってしましました。

戦前、戦中は天皇は神で、日本国民は神の子として自分の誇りとアイデンティティを持っていた。

ところが敗戦とともに、天皇は人間宣言され、日本国民も神の子ではなくなった。

このこと一つをとっても、人が生きる価値や意味を転換しなければならず、

どのように自分を納得させ、心のバランスをとり、戦後の混乱した社会を生きていこうとしたのかと思います。


『トラウマ』という言葉が一般的にも使われるようになりましたが、心の傷を癒やすのは簡単なことではありません。


精神分析は価値や意味を書き換えことで自分が変容していくのですが、それを一人ですることがまた難しいことです。

ゲシュタルトといってものの見方を換えると、これまでとは違う見え方考え方になります。

それを自らが望んで行い納得出来たものはいいのですが、外からの力で無理矢理強いられ、

自分の見たいように考えたいようにしてはいけないとなると、これは精神的苦痛を伴います。

そのようなことが起こったとしたら、心は悲鳴をあげバランスを崩します。

戦争という状況の中ではそういったこともあったのではないかと思うと、戦争による心の傷は大きいだろうと思います。


『永遠の0』の宮部久藏は、残してきた家族のために自分は生きようとし、

自分より若い教え子達にも生きて帰ることを問うたが、戦時下では潔く国のために戦い死をも厭わないことが是だった。


傷ついた者(親)がまた家庭で子ども傷つけていく、この負の連鎖を止め、子どもたちが健やかに育ち生きていく。

そういう家庭、社会になればと思います。


             インテグレーター(精神分析家) 登張豊実


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