金谷氏今月のメッセージ (平成22年6月)

以下は分析家仲間の真理攫取(金谷)氏のHPにある今月のメッセージを私のブログで紹介しているものです。

テーマ「新参者」

 新しく仲間に加わった人、新入りの人の事を「新参者」と言うそうだが毎週日曜日に放映されていたテレビドラマのタイトルである。

舞台は東京の人形町、その街で繰り広げられる推理ドラマである。

主役の阿部寛さんが演じる「新参者」の刑事が、被害者が女性の殺人事件を独特のキャラで解明していく。取調べていく段階で、人は「うそ」をつく、そのうその内容も重要だが、うそをつかなければならなかった何らかの理由がある、ついたうその解明よりもその裏に隠された真実の方が重要な事にも気付かされる。

この殺人事件は、父親が息子の事を思うが故に起こしてしまった事が最後に明かされる。

家族を守らなければならないと言う父親としての責任・義務がある。

又子供には恰好いい父親でありたい、英雄でありたいと思う。それゆえに無理をして事を大きくし、取り返しのつかない事になってしまうこともある。

 人はうそをつく理由が三つある。

①自分を守るためにうそをつく

②他人をかばう為にうそをつく

③事の重大さを軽減するためにつくうそがある。

 刑事ドラマにはすべてが使われる。自分が犯人であるのに恰も他人がやったとうそを言う。大事な人が犯人でその人を犯人にしたくなくて自分がやりましたとうそを言う。

親が止むをえず罪を犯して服役しなければならない時、子供に遠くに出張しなければならないと子供につくうそなどである。

 しかし、うその裏にある真実こそが重要な事である。

このドラマを見ては、精神分析の場面で見る光景と酷似しているといつも思っていた。下手な分析は取調室の中と同じ様になってしまう。

クライアントが語った事は「うそ」である。しかし、悪意があってやっているのではない。そのうそに隠された真実を導き出すことが真の目的なのである。

 ある女性がきた。子育ての悩みが主訴で子供は男の子が一人、「その子を上手く育てる自信が無い。虐待しそうになる。母親として失格者だ。」と訴えてきた。

この女性に聞くことはもちろん彼女自身の親子関係である。

「どんなご両親ですか?」まず母親の悪口から始まり、「自分は長女で下に妹がいて母はいつも仕事ばかりで私達の世話をしてくれない。」

「何故はお母さんは仕事に?」

「父親は職人で低収入、父親の働きでは食べていけなかったから・・・・・・母が仕事に行くから、長女の私が家の手伝いをやらされつらかった。その上母は勝気で口うるさい、女らしいところがない、だから嫌いだ」と言う。

いつも来られて話す内容は母親の嫌なところばかりだが、本当に嫌いなのは、力の弱い父親と結婚した事だと語り始めた。

 そう言えば、父親の事をあまり語らないと言う印象があったので尋ねてみると、やはりあまり語ろうとしない。

質問した事には言葉少なく返答するのみ。

 ある日の分析でとんでもない事実が判明した「お父さんは好きですか?」「好きでも嫌いでもない。しいて言うならば嫌いなほうかな」「どんな所が嫌いですか?」・・・・彼女は口を噤んでしまった。

分析から出てきた事は、父親による『性的虐待』であった。この事実を誰にも言えず、表向き父親の話題には極力触れないようにしてきた。

本当は母親が好きなのだが、こんな父親と結婚した母親が嫌い。父親がしている行為にまったく気付かない、鈍感な母親が許せなくて早くこんな両親と離れたくて結婚と言う道を選んだのだが、決して幸福ではなかった。

真実を隠す為についたうそに、うそをつき通さなければならない苦しみ、そこから逃れたくて分析に来る。

しかし、そこでも「うそ」をつかなければならない悲しさ、本当に幸福になりたくて人間は生きているのか?と思う。

クライアントが、そのうそを止めて真実を語ったときの安堵の表情は実に素晴らしいと思う。

『人間はうそをつくそれは真実の向かうために』

 真理攫取 


金谷精神療法研究所

ラカン精神科学研究所 のホームページもご覧ください

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